39.愛しのハッセル・実践編

   
     

(左)503CX 製造番号11EH20211[1992]
(右) 503CX 製造番号RE1425003 [1989]

 「38.愛しのハッセル・購入編」で503CXを購入した話を書きましたが左の写真には2台写っていますね。合成写真って訳では有りません。左のハッセルの肩の部分の503CXの銘板にはあの☆のマークが付いています。「スターマークは保障の証」ってやつです。シュリロ・トレーディングの正規輸入品です。☆マークの無い方は密輸品です。(んな訳ないか?並行輸入品です。)シュリロに修理を依頼する時は☆マークの有る無しで修理代が違うらしい。と言うことで?2台ある訳なのです。要するに2台買ったということです。(笑)
 言い訳をするのではないのですが撮影中に1台が壊れても撮影を続行出来るように同じレンズマウントのカメラを2台以上用意しておくのが武士のたしなみです。武士でなくても写真が撮れなくなることは問題です。今までに撮影中にカメラが壊れたことは無いのですが「マーフィーの法則」通り、持ち出すのを1台だけにすると、きっと壊れるのでしょうね。お守りのようなものです。撮影中にレンズ交換をするのも嫌いなので普段もカメラが2台にレンズが2本というスタイルです。
 ハッセルの場合はボディ2台にそれぞれレンズを取り付けると結構な重さになりますがこれは諦めるしかありません。また2台持っていると必ずどちらかにはフィルムが入っている訳ですからとっさの時にも画角が合う合わないは別としてとにかく撮影出来ます。写真はシャッターを切ってなんぼのものですからこれは結構大事なことです。フィルムマガジンの予備を持てばいいのでしょうがやはり2台持っていないと不安なのです。

 ☆マーク付きのボディの方が巻き上げは軽くスムーズです。どちらのボディも10本ほどフィルムを通しましたが問題は全くありませんでした。フィルムマガジンにも問題は無いと見えてキズが入ったり光線を引くようなこともありません。コマ間隔も多少の不揃いはありますが、まあ問題は無いでしょう。


 カメラの機能としてもっとも大事だと思っているファインダーの「見え」なのですが両方のハッセル共ミノルタ製のアキュートマットDというフォーカシングスクリーンが組み込まれています。(と思います。他のスクリーンのことは知らないので)明るさはローライフレックスと比べても明るく見やすい。外周部分もハッセルの方が明るくていいのですがピントの山がつかみ難いです。ローライフレックスのスクリーンはハッセルのものと比べ少し暗く写りもザラザラした感じですがピントの山はつかみ易いです。ハッセルだとずっと合っている様に見え、一度ピントを大きく外してから再度合わせるということをよくします。

 慣れの問題でしょうか?
少しくらい暗くてもピントの合わせ易いスクリーンがいい。ブロニカもピントはもっと合わせ易かったような気がするが?


503CX
アキュートマット・フォーカシングスクリーン
中央に+の表示がある。
明るいがピントの山はつかみ難いです。

☆503CX
グリッド/スプリットイメージの
アキュートマット・フォーカシングスクリーン。
スプリットイメージはあまり役に立たないなぁ。


503CXから採用された内面反射防止処理
植毛タイプのパルパス材が貼られている。

 ハッセルブラッドのレンズシャッターモデルは1957年の500Cから始まっています。
1970年に500C/M、1988年に503CX、1994年に503CXiが1996年には現行の503CWが発売されました。(他にも500Classic、501C、501C/Mなどというモデルもあります。)
 ハッセルブラッドもライカのM型と同様に基本的な構造は最初の500Cから現行の503CWまで変わっていません。最初から完成されたメカニズムだったようです。

 新品という人は503CWになりますが中古から選ぶ場合500Cから基本的に変わっていませんしレンズマウントも同じなので好きな時代の物を選べばいいと思います。写真を楽しむなら503CX以降が写真機を楽しむなら500C、500C/Mがよさそうです。もちろん500C、500C/Mも写真を撮るのには何の問題も無いはずです。アンセル・アダムス、前田真三、鬼海弘雄などの名前を出すまでも無く、世界中のスタジオカメラマンが使用し、ポートレートや風景写真の分野でも数々の名作を生み出してきた機種なのだから...しかしNETで公開されている500C/Mで撮られた写真の中には明らかにボディの内面反射が原因と思われる画質の低下が認められる。(内面反射を利用したとは考えられない。)
  写真家の藤田一咲氏も著書「ハッセルブラッドの時間」の中で内面反射には神経質にならないで、これも味と楽しむのがいい。と書かれていますがこの内面反射を味方につけ、味とするにはまだまだ修行が足りません。ましてや古いCタイプのレンズ(新しいレンズに比べると内面反射が多い。)を常用する私には内面反射防止策が採られた503CX以降が良いように思います。500Cや500C/Mにこだわる方には後処理で内面反射防止が出来るそうなのでお気に入りを購入することをお勧めします。操作感は500Cや500C/Mの方が良いそうですよ。(笑)
 風景写真などで焦点距離の長いレンズを常用する方はミラーが長くなりGMS(グライディング・ミラー・システム)が採用された503CWや501C/Mがお勧めです。焦点距離500mmのレンズではまだ多少ファインダー画像がケラレますがそれ以下の焦点距離のレンズではケラレが発生しません。他の機種ですと焦点距離250mmのレンズからケラレが発生します。スナップ撮影がメインの私の場合、もし使っても長いレンズは250mmまででしょうからどの機種でも問題なしです。

 ライカはM3やM2を常用していますがこれも別に操作感から選んだ訳ではありません。自分にとって使いやすいものとして残った機種がM3やM2という訳です。操作感や感触というのも大事なことですがあまりそれに捉われるのも考え物です。

 

Cレンズ用のΦ50のフード(左)と
CFレンズ用のΦ60のフード(右)
こんなに大きさが違います。
     
 フィルムの交換は本体からマガジンを外さないで中身だけ抜き取って新しいフィルムを詰めています。
マガジンを外さないのでマガジンスライドも抜いたままで使いません。SWAやSWCのようなワイドカメラはボディの厚みが無くレンズの後球がフィルム面に近いのでマガジンスライドを差し込んでからフィルムを巻き取らないとフイルムの端末がレンズに当たりレンズに傷を付けることが有るらしいのですが普通のボディは厚みが有るのでフィルムがレンズに触れるようなことは無いと思う。
  この方がフィルム交換も迅速に出来るのですがこういう使い方は何かまずいことがあるのかなぁ。
マガジンの中身だけを抜いて
フィルム交換をするのだが...


ライカ、ローライフレックスに続くストリートスナイパーのサードウエポン(笑)
戦闘態勢の時 はこの姿だ。
一台はバッグの中とは言えこりゃ目立つわな〜。

 まだ使い出して日が浅いのですが気付いたことを少し。

  ハッセルの使い方には決め事がたくさんあるような印象がありますが気を付ける事は一点、レンズの着脱に関することです。ボディ側もレンズ側もシャッターがチャージされた状態で無いと着脱は出来ません。着脱が出来ないのならレンズがマウントにセット出来ないとか、外そうとしても回転しないとかというフリップフロップな構造になっていません。チャージされた状態がハッセルの普段の姿ということのようです。間違って装着したりすると即、修理送りらしいので要注意です。

 ハッセルといえば風景撮影やポートレート撮影の代表選手のようなカメラですが僕はスナップ撮影に使っています。シャッター音(実際はミラーの動作音ですが)も大きく振動も大きいカメラです。図体も大きいです。スナップには全く不向きなカメラに見えますが実際に使って見るとこれがなかなかスナップに最適なカメラです。ライカのようなカメラではカメラを目の位置に持ち上げるとカメラは小さいにもかかわらず街中では結構目立ちます。ところがハッセルの場合はこんなに大きいカメラなのに目立ちません。ウエストレベルファインダーでお辞儀スタイルで構えていることが目立たない要素かもしれません。カメラを構え、顔が被写体の方に向いてしまうことがプレッシャーを与えてしまうのでしょう。逆に大きなカメラで「写真を撮っている人」がいると認識された方が風景の一部として捉えられてしまうので気にならないのかもしれません。こそこそ撮影するより自信を持って最初に目立ってしまった方が結果はいいようです。

 素早くシャッターを切らなければならないスナップ撮影の場合には真っ直ぐ撮れなかったり画角にうまく収められなかったりと悪戦苦闘ですが写りには大満足です。またハッセルを使うようになってローライの写りの違いも再発見しローライももっと連れ出してやらねばと思っています。

 ハッセルは高額なことやプロの機材という認識で敷居が高いカメラでしたが中古価格がこなれてきた今が使うチャンスかもしれません。使用法もマニュアルカメラを使い慣れている人には難しいことは一つもありません。全く初めてという人にも操作が少ないので難しくないと思います。作法だ何だと一部のマニアが誤解を招くようなことを言っているに過ぎません。四角い画面に魅せられて初めてのフィルムカメラがハッセルという人も出てくるかもしれませんね。

 レンズは写真に写っているディスタゴンC50mmF4、ゾナーC150mmF4と最初の503CXに付いてきたプラナーCF80mmF2.8T*の3本を使っています。ディスタゴンC50mmF4、ゾナーC150mmF4はノンT*コーティングの初期のものです。実際にT*コーティングの物やCFタイプと写りを比べた訳ではないのですが色々な所に書かれている「諧調のCレンズ、シャープネスのCFレンズ」ということを参考にCレンズを選びました。モノクロフィルムしか使わない私にはCレンズが向いているようです。使い込んでいないので断言は出来ませんがハイライト部分もシャドー部分もギリギリまで諧調は残っています。またどちらかというとハイライトに強いようで露出をオーバー目にしても白い服や白い壁といったものも飛んだりしないで質感が残ります。
  ライトバリュー方式も慣れれば絞りリングだけを回すことも問題なく出来、同じ露出値のまま絞りを変えれることにメリットもあります。デザインは文句なしにクロームメッキのCレンズの勝ちです。

 手に入れたレンズのヘリコイドリングや絞りリングの動きはスムーズさが多少欠けますが(使っている間に随分マシにはなった。やっぱり使わないとダメってことね。)レンズはキズやクモリも無く、シャッターにも問題は無いようです。いずれにしても古いレンズなので機会を見てオーバーホールに出したいと思っています。


 使わなくなって仕舞っていたCONTAXのシステムを売却(他にも色々)して手に入れたハッセルです。考えようによっては35mm判のツァイスから6×6判のツァイスに代わったとも言えます。ツァイスの色に惚れてCONTAXを使うようになったのですが、モノクロばかり撮るようになってからはライカがメインカメラになりました。ハッセルのツァイスはどんな写真を撮らせてくれるのでしょうか?とても楽しみです。

 今日も重いバッグを担ぎ直し、日差しの中へ歩み出します。ハッセルを左腕にかかえ...