29.珍言・迷言

     

写真部門

 

まずは写真部門からです。
「手ブレして露出も外し入選す。」
写真は思ったようにならないと言うことをうまく表現していますね。あるいは写真展の選者のいい加減さを表しているのでしょうかね。

「広角で近くに寄れない気の弱さ。」広角は近くに寄って主題と周りの状況を写し込むことが出来る画角なのですが、気が弱いのでモデルさんに近づけないということですね。ぜひとももう一歩前へ。

「土門拳のエルマー90。」土門拳氏が沈胴のエルマー90mmで撮影している様子を捉えた有名な写真からですね。90mmはエルマーで十分とも写真を撮るときはこれくらいの気迫で撮れということでしょうか。

「荷物になっても持っていく。」これはズミクロン90mmを詠ったものでしょうね。初期のクローム物は特に重いので初期玉をお持ちの方の気持ちでしょうね。あまり使うことが無くてもここという時には欲しくなると言うことでしょうか。ボケ方が本当に美しいレンズです。後期モデルも同様にきれいな写りをするのですがデザインがよくないせいか人気がありません。小型軽量になっているのでもっと使われてもいいと思います。

「写真の写りも信心から。」いい写真を撮る為には自分の機材を信じて心の中で「よく写る良く写る」と唱えましょう。きっといい写真が撮れます。ちなみにライカやレア玉といい写真とは何の因果関係もありません。

ライカと言えば「黒塗りライカを使っている奴は碌な写真を撮っていない。」あるいは
「黒塗りライカを飾っている奴は碌な奴ではない。」と言う言葉があります。私の場合は黒塗りライカを飾りではなく日常に使用している方なので碌な写真を撮ってはいないが人間的にはまだマシという事か。でも黒いライカって好きです。別にオリジナルである必要も無い黒ければOKだ。もっともオリジナルなんてとても買えません。

「写真は量。」写真の量=質なのだ。ただし撮った後の写真によく目を通すことが大事です。土門拳は「アマチュア諸君もっとシャッターを切りなさい。」と言っていますし森山大道は「写真の質は写真の量と同義」とハッキリ言っています。また内田ユキオは「フィルムは奇跡に対して払う代償、フィルムを惜しんではいけない。」と言っています。土門氏の時代はフィルムは大変高価なものだったので今とは少し状況が違います。シャッターをたくさん切りたくても出来なかった時代だったようです。土門自身も「ひと月にフィルムが一缶で済めば楽なのだが」と言っていた記事があります。(敬称略)

「写真を撮るなんてとんでもない。」銀座辺りに出没するクラシックカメラ保存のためのボランティア。フィルムを通さずに古いカメラに風を通すために銀座を散歩する人あるいは団体の合言葉。この人たちのおかげでクラシックカメラが死滅から免れているのです。

「ライカは手間の掛かるカメラ。」いえいえ手間の掛かるのはAFカメラです。ファンクションを呼び出して確認しないと何がどうなっているのか?

同じような言葉に「不便を楽しむ。」ライカは不便なカメラではありません普通のカメラです。それが証拠に70年も昔の人も使っていました。

「失敗を楽しむ。」じゃ、写真やめたら。失敗したらやっぱり悔しいものです。今度こそはという気持ちが無くなったら楽しくないのでは。

「いい写真。」巧い写真とはベクトルが違う。巧い写真と言われてもちっともうれしくないがいい写真と言われるのはとてもうれしいこと。こう言われる写真を撮りたいものです。


カメラ部門

次はカメラ部門です。
「買って後悔買わずに後悔。」中古品購入時の心の有り様が短い文に込められていますね。買わずに後悔するよりも買ってから後悔する方がいいと言われていますが、これも値段によりけりですね。

「本当に欲しい物は買った後に見つかる。」この程度で我慢しようかとか欲しい機種が見つからないので違う機種を買ったりすると本当に欲しい物が店頭に並んだりNETにあふれる。こういうことって良くあるのですが私だけでしょうか?日頃の行いがよほど良くないのかもね。

「よく写らないから欲しくなり。」オールドレンズの本質を突いた秀作です。階調が豊かと言われているレンズはみんな良く写らないレンズばかりです。

「6よりも7よりも8がいい。」これはズミクロン35mmの話ですね。初期の8枚玉が神格化されている様子をよく表しています。コントラストが低く開放ではねむいレンズですが先ほどの「よく写らないから欲しくなり。」の例え通りのようですね。

同じズミクロンを表した「高値の玉。」と言うのも有ります。高嶺の花からのもじりのようですがズミクロンの8枚玉は相変わらず高値ですね。

「再研磨レンズ。」元のレンズとは違うレンズ。削ってしまえばいくらクリアーに写ったところで元のレンズとは違うレンズです。研磨したレンズの写りに満足ならばいくら削ってもいいと思います。逆にキズがあろうと曇っていようとも写りが気に入っているならそのまま使うべし!

 次の数点は中古カメラを買うときの心構えを詠ったものです。
「シャッター1秒怪我一生。」ライカを買うときにはスローシャッターの動作を確かめましょうと言うことですね。ジジジーと言うスローガバナーの音がスムーズに聞こえ1秒が正確に出ていればシャッターは大丈夫と言うことを言ってます。

「一キズ一万ファインダー十万。」ライカにキズが一つ増えると1万円安くなると言われています。誰でもキズの少ないきれいな物が欲しいでしょうが外観ばかりにこだわっていて肝心のファインダーに問題があったら修理に10万円掛かりますよ。外観のキズより中身のしっかりした物を選ばないと、高く付きますよということです。人間と同じですね外観より中身の問題です。しかし美人(美男)に弱いのもこれまた事実ですね。困ったものです。老婆心ながら、擦り傷や小さなアタリは全く問題ありません。変形を伴うような大きなアタリがあるようなものは他の部分にもダメージを及ぼしている場合が有りますので避けた方が無難です。

「小兵に足元をすくわれる。」敵の大将(カメラ、レンズ本体)はよほどの物でもない限り、買い逃しても結構次が見つかりますがアダプターやアクセサリーのような小物ほど見つかりにくいと言うことか、あるいはレンズを安く買ったのは良かったのだがそれに合うフードや外付けファインダーの値段がレンズの何倍もする場合があるという筆者の経験から出た言葉ですね。

「あなたの後ろにもう十人。」これは店頭のあなたが狙っている商品には後10人は目を付けているよという事です。

「あなたの後ろにもう千人。」これは同様にNETの商品に目を付けている人数です。いや、もっと居るかも知れませんね。迷っている間に大概売れちゃいますもの。「給料日まで何とか売れないで」なんて見ている時にはサスペンスより手に汗握ることになります。

欲しい物を手に入れるためには「見付けた時が買い時。」と言う言葉を忘れないように。よく分っているのですが財布の中身と見つけた時のタイミングが合わないのですね。貴方もですか・・・いっしょですね。

「カナダ製よりドイツ製が優れている。」ライカファンには何が何でもドイツ製に限ると言う人種もいる。中古価格もドイツ製のほうが幾分割高だ。品質にもちろん違いなんか無いはず・・・。

「ドイツ製よりカナダ製の方がお買い得。」中身は変わらず値段が安い。私向きである。ズミクロンなどはカナダが本家なんだけどな〜。中身に全く違いなどは無いのでカナダ製の方がお買い得である(希少性からか、一部の商品はカナダ製の方が高い物もあります)。

もうひとつライカねたで「ズマロンの160万台。」製造番号が160万台のズマロンは写りが良いと言われて珍重されています。中古価格にも最近反映されているようです。160万番台がよく作られているようなことはなくコーティングの違いから描写が違っているようです。店頭に並んでいる同種のレンズでもレンズの色が違って見えるものがあります。設計にコンピュータが導入されるまで他のレンズでもライカ社はよく構成やコーティングをこまめに変更しているので同じレンズでも描写が違っていることは良くあります。製造番号が160万台前後のレンズは鏡胴も含め最も手を掛けて作っていた時代のようです。

「ヒューマン・インターフェースに優れた」古いメカニカル・カメラのこと。取説の厚みを見よ、取説がカメラ本体より重くなるような最近のカメラが直感的だとは笑わせてくれる。

「人の言葉を信用するな。」良くないと評判の物でも自分にとっては最高の場合があります。あの娘は男の噂が絶えないと言われても男が惚れたらとことんと・・・話がちょっと違うかな。自分を信じることも必要だ。

「人の言葉は素直に聴け。」販売員の忠告に従って何度もいい物を手に入れています。最も相手次第なのですが、ちゃんとアドバイスしてくれる人を見つけたら大切にしましょう。こちらの知ったかぶりも良くないですが販売員の知ったかぶりは始末が悪いです。

「実用に問題無いは問題あり。」実用するのはこちらです。本当に機能に問題無いキズであっても自分が気に入らない物は買わないことです。同じ様なキズでも気になる場所ってありますものね。長く使う物ですから納得できる物を!

次は中古店のプライスタグに書かれていてよく目にする言葉です。
「新品同様」新品ではない。
「極上品」店の利益の多い。
「完動品」さっきまでは動いていた。
「難有り」使えません。

冗談ですからくれぐれも本気にしないでくださいよ。

 

   
 よく目にする言葉を拾ってみましたが大して意味の無い言葉もありますが結構本質をついている言葉もありますね。自分の胸に手を当てて考えてしまうような言葉もありました。「いい写真」がすべてですね。