25.今だからM6

     
 M6以降、限定モデルを含めずにM6TTL、M7、MPと発展してきたMシリーズだがM6発売当時「M3からM4時代にあった絹のような滑らかさがなくなった。」、「精密感が希薄になった。」とか、挙句の果てには「あれはライカではない。」と言う人まで出る始末だった。いつの時代にも新型ライカは批判される運命のようだが今だからこそM6が最も実用的なM型ライカと言えるのではないだろうか。
   
 M6は1984年に登場し1998年にM6TTLにモデルチェンジされ2002年3月のM7にバトンタッチするまでの18年間にわたって生産されたM型カメラの中で最も長い期間、製造が続けられたカメラだ。その間には会社の再編が何度かあり1986年にはWild社の傘下のライツ社(ERNST LEITZ GmbH WETZLAR)から写真部門が独立しライカカメラ有限会社(Leica Camera GmbH)そして1996年にライカカメラ株式会社(Leica Camera AG)となった。
   
M6の歴史
 前述のように、1984年M4−Pの後継機としてファインダー倍率0.72倍のブラッククロームとして発売され、1986年からシルバークロームが発売された。1998年にファインダー倍率0.85倍のM6-0.85が発売されるが同年M6が生産中止されTTLフラッシュ撮影が可能なM6TTL0.75、M6TTL0.85が発売され2001年にファインダー倍率が0.58倍のM6TTL0.58が発売されファインダー倍率3種類、ボディの仕上げがシルバークロームとブラッククローム仕上げという6種類のM6TTLのラインナップが完成した。2002年3月にM7が発売され18年間の歴史に幕を下ろした。
   
バリエーション
製造期間が長かったので限定モデルも含めると数多くのモデルがあります。
   
 
発売年
モデル名
備考
1984年 ブラッククローム0.72 1987年以前は「Leitz」(ERNST LEITZ GmbH WETZLAR)以降が「Leica」(Leica Camera GmbH)(Leica Camera AG)
1986年 シルバークローム0.72
1990年 パンダモデル シルバーのボディにブラックのレバー、ダイヤルを組み合わせ
1992年 チタンモデル  
1994年 M6J 限定モデル1640台の発売
1996年 株券付きモデル  
1998年 M6-0.85 ファインダー倍率0.85倍
1998年 M6TTL0.72、0.85 M6生産中止
2000年 M6TTLブラックペイント 2000台限定
2001年 M6TTL0.58  
     
   以外にもコロンブスアメリカ大陸発見記念とか、何とか橋建設記念とかファンクラブが注文した物などなど、本当に色々な物がありますがレギュラーモデルとしては、M6-0.72、M6-0.85、M6TTL0.58、M6TTL0.72、M6TTL0.85というところでしょうか。
     
   M6の発売開始から19年目を迎える訳だから結構古いモデルなのだが、未だに1954年に発売されたM3が現役で活躍しているM型ライカの世界ではM6は最近のモデルというイメージがある。
 発売当時クソミソの評価が多かったM6ではあるがM6に変わってM7が発売され、またMPが発売された今だこそM6のポジションが見えてきたように思うし、正しい(冷静な)評価が出来るのではないのでしょうか。NETのライカファン、写真ファンのサイトを訪ねてもM5以前のモデルも併用されている人も含めM6(M6TTLを含む)を使っている人口は大変多いように思います。若い世代ですとM6が現行品の時代に社会人になり必然的に新品がM6だったということもあるのでしょう。M5以前のM型がもっていた操作感(手触り)や精密感が劣るということも事実なのだが真面目に写真を撮る道具としてはやはり一級品といえる。いろいろなことを言われながらも多くの人が所有している事実がそれを証明しているのではないでしょうか。
M6 Silver Chrome
 
M6TTL Silver Chrome
     
私的!M6(M6TTL)のここが○ここが×

ここが○

ここが×

露出計を内蔵した。 露出計の表示の両方の三角が点灯すると適正(M6)
露出計の表示が分かりやすくなった。表示がになり緑の円が点灯すると適正(M6TTL) LED表示なので露出のズレが分かりにくい。
ファインダーフレームが28mmから135mmまである。(0.85モデルは28mm無し、0.58モデルは135mm無し) ファインダーフレームがいつも2種類表示されるので見にくい。
TTLストロボ同調回路の搭載(M6TTL) 同調速度が1/50のみじゃ使えないです。
機械式シャッターなので電池が不要 ファインダーが白飛びしてピンと合わせが出来なくなる。
  シャッターダイヤルの回転方向が歴代のM型と反対方向になった。(M6TTL)
     
   まあ、非常にくだらない表を作って遊んでいる訳ですが、この中で真面目な話ファインダーの白飛びだけが致命的な欠陥です。ファインダー視野枠が全く見えない状態になります。この問題は精密感が失われたとか手触りがといった問題とは全く次元が違います。カメラ本来の機能が果たせない状態になります。3万円のカメラではなく30万円もするカメラの話です。もっとも3万円のカメラでも困ってしまいますが。三菱ふそうの欠陥問題ならあんな大騒ぎになるのにM6のファインダーの問題が欠陥騒ぎにならないのは不思議です。またライカ社も日本シーベルヘグナー社も平気な顔で撮影に問題ないと発表していますが、M6を本当に使ったことがあるのかと聞きたくなってしまう様なコメントです。2004年にようやくファインダー改造サービスと称してそれも有償(\35,000)で対策を開始しました。こんなことがまかり通り、暴動にも発展せずありがたがっているライカファンというのは全く理解の外である。もう一度声を大にして言うが「これはメ−カーが責任を持って対応すべき欠陥です。」少なくともオーバーホールや修理時に無償で対応すべきではないでしょうか。常々「当社は最高の品質のものを提供するのを使命として・・・」と言っているメーカーの対応とは思えません。

ファインダー倍率とブライトフレーム
 以下の表のように28mmから135mmレンズに対応したブライトフレームがあるので自分に適したファインダー倍率のものを選べばよい。
 
28mm
35mm
50mm
75mm
90mm
135mm
M6-0.72
M6-0.85
-
M6TTL0.58
-
M6TTL0.72
M6TTL0.85
-
 ファインダー倍率0.85倍でファインダーフレーム35mm、50mm、90mmモデルやファインダー倍率0.58倍でファインダーフレーム28mm、35mm、50mmモデルの様に単独にフレームが現れる割り切ったモデルがあったらいいのになぁ。限定でもいいからMPで実現してくれたらうれしいのだが、無理だろうね。

ガンバレ若社長!

 M6は紛れもなくM型の伝統を受け継ぎながら使いやすく進化したモデルです。M型の中では特徴の無いモデルかもしれませんし、伝説を生み出す時代背景が現代には存在しません。しかし写真を撮る道具としては真面目な良いカメラであることに変わりありません。 M6TTLがメカニカルカメラの最終型と思われていたのだが2003年にMPが発売され電子式AEカメラのM7と機械式カメラのMPが併売されていますが、技術的な進化で見れば機械式カメラとしてM6はMPより正しい思想を持っています。MPは電子式のM7に疑問符を投げかけたユーザーに(電気カメラなんかまっぴら、ライカは機械式だから欲しいんじゃ!と言う特に日本のユーザーの声。総販売台数の日本が占める割合は無視できないほどの量です。)配慮してデザインを優先してノスタルジー世代も取り込もうとした販売を優先に考えた製品です。(決して悪いと言っているのではありませんデザインも美しくなって私自身欲しいくらいですから。)
 実際に写真を撮っているときには肌触りやシャッター音の違いなどまったく関係ありませんし気にもしていません。何のストレスも無く「使えるカメラ」です。

     
   カメラ雑誌やライカ本の影響で歴代のM型に比べて劣っているような印象のあるM6ですが、写真を撮る道具としてはもっと評価されていいと思います。M4やM5あるいはもっと古いM2やM3でさえ現役で何の不都合も無く使えていることがM6の不幸かもしれません。M6は老舗に生まれた若社長の様な立場かもしれません。父親の先代も、おじいさんの先々代も未だに元気で若社長は若社長なりにがんばってはいるのですが、事あるごとに口を出しては、最近の若い者は・・・と言われている感じです。「ガンバレ若社長!」
  中古価格もライカとしてはそれほど高くなく、製造された年式も新しいので「使うライカ」として結構狙い目かも。それで今計画していることがあります。M6TTL0.58を手に入れてスーパーアンギュロン21mm専用ボデーにするという計画です。M6-0.72の28mmフレームのサイズを見ていると0.58のフレームのフレーム枠いっぱいいっぱいを使えば21mmの外付けファインダーを使わなくても十分実用になりそうです。0.58倍のフレームを搭載しているモデルとしてはMPがありますが高いですものね。スーパーアンギュロン21mmもM6TTL0.58もどちらもまだ持っていないのですが、結構使いやすい組み合わせになるのじゃないかなと密かに計画中です。お尻の出っ張ったスーパーアンギュロン21mmでは露出計も正常に働かないので、電池を抜いて使うと、使いやすいライカの出来上がりです。