8.LEICA M3購入記

 

 前回このコラムの中でM2かM3どちらを選択すべきかと言うことを書き最初に選択するのはM2の方がいいでしょうなんて書きましたが、予想通りというかやっぱりと言うか、M3が我が家にやって参りました。早い話、買ってしまいました。
 事の発端は「90mmのレンズでちゃんと写真を撮りたい」から始まりました。ご存知のようにM型の場合、一眼レフのようにレンズの焦点距離に合わせてファインダーの見えが変わる様なことはありません。
35mm、50mm、90mm、135mmとファインダーのブライトフレームがどんどん小さくなっていくだけです。ファインダー倍率0.72のM2やM6の90mmのブライトフレームはかなり小さくなります。
ピント精度も悪くなりますし、なんと言ってもあの小さな枠の中でフレーミングを考えるのはチト辛いのです。
 90mmのフレームが実用となるのはM7ー0.85、M6TTL0.85かM3と言う選択肢になるのが必然でしょう。M7はもちろんM6TTL0.85ならまだ新品を購入することが出来ます。M7はまだまだ高いけれどM6TTL0.85は価格も中古M3と同等です。M3と比べM6TTL0.85(新品もしくは中古でも新しいから)は故障も少ないだろうし保証も有るし、本当はこちらを選択すべきなのでしょう。・・・が

 M3=一度は使いた〜い。

 M3はM型の最高峰、空気中に浮かんだ様に見えるブライトフレーム、手間のかかったファインダー構造、最高の材質で精度の高い部材を製作し、最高の職人達で組み立てたエルンスト・ライツ社が最盛期の時代に作られた物です。
 M3と一口に言っても1954年(昭和29年)から1966年(昭和41年)まで13年間製造され22万台以上が作られました。その間に色々なところが改良、コストダウンがされ幾種類ものバージョンがあり、大まかには前期型と後期型に分けられます。シャッターダイヤルの倍数系列化、巻上げが2回から1回に変更、視野枠切り替えレバーの増設、吊り金具の形状と位置の変更等で前期、後期と分けられますが、これとて一時期に行われた訳ではなくどの辺りから前期型、後期型とするのか意見の分かれるところですが、巻上げが2回から1回に変更された時期を境と考えるのが分かりやすいです。個人的には巻上げが一回巻きに変更された後、巻き上げ機構がスプリング式からラチェット式に変更された時点で前後期と分けて考えていますが外観からは分かりません。
 上記のほとんどの改良は1958年頃までに行われていますので、1958年までを前期または改革期それ以降1966年までを後期または安定期と区別しています。
 もっと簡単に分けるなら100万台以降を後期型それ以前を前期型と考えてもいいような気がします。内部や外観の改良とは関係なくあくまでも主観なのですが100万台以降の手触りが違うような気がするのですが・・・?

 さて購入するならどの時代にするか悩むところです。二回巻き上げ、視野枠セレクターが無いドッグイヤーの最初期型か、一回巻上げになってからのドッグイヤーかそれ以降の普通の吊り金具の形になってからか、どれもに特徴があり全部欲しくなってしまいますねぇ。
 最初期の70万台のシャッター音は幽玄のきわみだとか、巻き上げの感触がベルベットの上を滑らすようだとか色々な雑誌に書かれたことが参考(迷いの元?)になります。これから購入を考えている人はいっぱい悩んで(楽しんで)ください。

 


LEICA M3 (922490)

 

いざ出陣!

 大阪でライカを購入と言うと一番有名な所はOSカメラだと思うのですが、いつ行ってもなんだか敷居が高い感じがして、話し掛ければきっといいアドバイスなどしてくれるのかもしれませんが私の場合居心地が今ひとつなのです。で、いつものレモン社へ、レモン社大阪店は又引っ越したとかで駅前第3ビルB1に変わりました。前のアバンサにあった以前には確か駅前第3ビルに有ったような、帰ってきたと言うことなのね。レモン社の委託品コーナーがターゲットです。
 委託品は保証が無く本当だったら店舗が保証期間を設けている中古品が少しは安心なのですが、店舗が保証期間を設けているからと言って故障しない訳ではないし(新品でも不思議と保証期限が過ぎた途端に故障したりする)、店によっては価格を吊り上げるために保証有りとしている所もあります。委託品のいい物に当たれば店舗が保証を付けている物より安く購入できます。
 まあ賭けのようなものですが、賭けの勝率を上げるためには日々の努力が肝心です。・・・どんな努力や!

 自分の予算に合ったものを何台か(その時の在庫で変わりますので1台だけと言うことも有ります。)操作させてもらいます。レンズもお借りして店舗外まで持ち出して距離計のインフのチェックも行います。
 この様なことはどこの店でもさせて貰えるのですがいつもレモン社になるのは、レモン社の気質なのか担当者(メガネを掛けたちょっと小太りの人、いつもこの方から買っていますがお名前も知りません。)の気質なのかわかりませんが気持ち良くさせて貰えるからです。
 店によっては常連さんらしき人との話しに忙しいのかめんどくさそうにされる店もあります。こういう店ではいい物が有っても絶対に私は買いませんし次第に足が遠のきます。
 話が逸れてしまいましたが、何台かの中でまず機構がちゃんと作動しシャッタースピードを切り替えてだんだんと早く又は遅く動作いていることを確認します。正確なスピードは解りませんが変化していることが大事です。この時必ずレンズマウントの穴からかバックドアを開けて実際にシャッター幕が動作していることを見てください。一度シャッタースピードの切り替えに合わせて音は変化していても実際にはシャッター幕が開かない物がありました。(シャッター幕の固着、長く使われていなかったのでしょうね。)異音や違和感が無く各部がスムーズに動作すること、ファインダー像がクリアーで距離計に問題ない物、古い物ですからファインダー像が薄くなっているものも結構多いのですがあまりに薄いのは困りますが多少の像の薄さは我慢しましょう。無限距離のズレは簡単な調整で直りますが、他のファインダー故障は修理費が高くつきます。先ずは正確さ優先です。
 いつも価格の安いほうから順番に見ていくのですが、外観のスレは気にしませんが明らかに強くぶつけたような傷がある個体は基本的にはパスします。ライカの場合中古価格体系が割に出来上がっていますのであまりにも相場価格より安い物は要注意です。こう言う風に選んでいると私の場合には必ずしっくりくると言うか、そのカメラが私を選んでくれます。
それは最初からほしいと思っていた年代の物の時もあるし違う時もありますが、私は必ずその波長が合ったカメラを買って帰ります。波長の合う物が無い時はパスです。
 今までに何台も中古カメラを買っていますがこの波長が合うと言うのは結構大事な様です。これだと思って買ってきたカメラで今まで直ぐに不具合が出たことは割と新しい機種のTVSの1台きり(高輪カメラの保障期間中ということで無償で修理していただきました。)です。機械式カメラで修理が必要になったことはありません。

 で、家にやって来たのは上の写真のM3です。製造番号922490で1958年生まれでくしくもM2と同い年です。視野枠セレクター付きで巻上げ機構は1回巻上げスプリング式、吊り金具はドッグイヤーです。
 噂どおりブライトフレームが空気中に浮かんで見えます。ファインダー倍率も0.91と等倍に近いので両目で見ても違和感が有りません。巻き上げレバーもスプリング式機構のためレバーが戻る時のカリカリ音も無くとってもスムーズです。
外観も大事に長く使われてきたと言う痛み方です。シャッター幕もまだまだ新しいようです。45年間1度も交換されていないようじゃ困ります。シーベルのシールがされている様子からちゃんとメンテナンスが行われていたようです。
 M3の良さは色々な雑誌や本に書かれていますが、シャッター音の静かさや精密感だけでなく実用のカメラとしての良さはやはり使ってみて始めて実感できます。50mmのアールがついたフレームも雑誌の中の写真などで見ていると線も太く目障りに見えていましたが実際のファインダーを覗き太くアールのかかったフレームを見ているとM3を使っているんだと嬉しくなります。本当に勝手なものですね。
90mmのフレームも大きくて使い易く90mmレンズで撮影するのが楽しくなりそうです。

後日談:
 ポジフィルムを入れて露出チェックをしました。露出値とシャッタースピードを変え(露出量は一定)、スバラシイ!1/2から1/1000までのチェックでしたがバッチリ揃っていました。古いM3という事を別にしても機械式シャッターでこれほど精度がいい事は稀です。以前に使ってられた方がちゃんとメンテナンスされていた証拠でしょう。コマ間隔も少し狭いですが綺麗に揃っていました。
 自分で選んだものが調子がいいとすごく得した気分です。元々完動する物という前提で選択して買っている訳ですから得も何もない筈なのですが、そこは中古品ですから見かけと実際に違いが有ったりする訳です。自分の感と経験で良い物を選択出来たことは大変嬉しい事です。調子が良いと大事に長く使いたい気持ちになります。