第20回 D76とXTOL

 
     

 「暗室雑記」は久々の更新です。この間、暗室作業をサボっていた訳ではありませんがプリントはあまりしていません。たくさん写真を撮るという目標を掲げフィルム現像が主でした。

 コダック「D76」はメトールを現像主薬にし、軟調さの弱点を解決するためハイドロキノンを組み合わせた上に微粒子現像液並の亜硫酸ナトリウムを使ったもので標準現像液として長年の主流です。最近(といっても随分前に発売開始されたが)コダックにはビタミンC系の「XTOL」があります。日本の富士写真フィルム製品でもビタミンC系の「フジドール E」が標準現像液というポジションになっています。いずれも粉末タイプでハイドロキノンに変わりアスコルビン酸(ビタミンC)を現像主薬とする現像液です。「フジドールE」や「XTOL」も汎用性の高さを謳った標準現像液とされています。従来の処方より環境に優しいということでコダックは「XTOL」にかなり賭けていたようだ。性能面でもD76を凌駕し、コダックの資料では同社現像液の中で最高の総合力だと言っています。

 実際の使用においてどれぐらいの差があるのでしょうか?化学に関しては全くの素人ですのでどの薬品がどのように作用しているとか解説することは出来ません。あくまでも両方の現像液を使って見てフィルムの仕上がりとプリントを比べた主観による解説です。


概要
 

 パッケージデザインは同様なパッケージです。
どちらも粉末タイプですがD-76は1剤、XTOLはA,B2剤タイプです。溶解温度はD-76は52℃、XTOLは18〜30℃で常温の水温で溶解出来るXTOLの方が汲み置きの水をそのまま使えるので利便性は高い。溶解の全量はD-76は1L用と1ガロン(3.8L)用、XTOLは5L用となっています。
 原液1Lあたりの処理能力はD-76が4本、XTOLが15本と処理能力はアップしています。1:1希釈の場合はどちらも1回使用で使い捨てになります。 保存能力はどちらも未使用液を密栓したボトルに充満した状態で6ヶ月、ボトルに半分の状態で2ヶ月と変わりません。


(左)D-76、(右)XTOL

   
粒状性
XTOLの方が超微粒子と謳われています。空のように大きな中間濃度部分のある写真ではプリント時に違いを見つけることが出来るでしょう。粒子が小さくなったという感じよりも粒子が揃っているというか丸くなったようなイメージです。
     
感度
XTOLがわずかに低いようです。現像時間もD-76と比べると少し長くなります。
     
コントラスト
コントラストのつき方はD-76の方がハッキリしています。XTOLの方が濃淡の切れ目が緩やかに変化して諧調が多いように感じます。粒状感の違いも作用しているのかもしれません。
     
まとめ

 D-76で現像したフィルムとXTOLで現像したフィルムから四つ切りにプリントした写真を比べています。フィルムはTri-X(EI200)、写真の内容で露光時間に違いがありますがプリント現像液や現像時間などは同一の条件でプリントしています。被写体も撮影した日も違うので同条件という訳ではありませんが見比べると違うことは分かります。D-76を長年使われている人ほどいつもと違うような?という差を見出せるかもしれません。
 大きな変化を求めるのならフィルムの銘柄を変えたほうがいいでしょう。もっと微粒子に仕上げたいのならフジのACROSS+ミクロファインに勝るものは無いと思いますし、コッテリ感はイルフォードの100DELTAや400DELTAの方があります。違いといってもそれぐらいのことです。

  しかしTri-Xを常用している僕にとっては写真の内容によってはXTOLに優位を感じます。逆に言うとXTOLに変えたことによるデメリットといったことはないといえます。XTOLに絶対変えた方が良いとは言いませんが悪くは無いです。買い置きのD-76が無くなったら考えてみようか?ぐらいでいいと思います。環境へのインパクトも小さくなることですし、僕も買い置きのD-76が無くなったら標準現像液をXTOLに切り替えます。