第16回 フィルム現像の話・2 (現像処理)

     
 フィルムを現像リールに巻くからずいぶんと時間がたちましたがやっと現像作業のメインである現像処理の話しに入ります。言うまでもなくプリント作業までを含めた自家現像作業の中で一番神経の使う作業です。なぜならばやり直しのきかない作業だからです。プリントは良質のネガさえあれば気に入るまで何度でも焼くことが出来ますがこのネガを作る作業では出来上がった物を変えることは出来ません。ここで失われた物は二度と戻らないしバランスの悪いネガから良質のプリントを作るのは大変です。

標準ネガって

 ここで言う標準ネガとはあくまでも私にとって(あなたにとって)の標準と言う意味です。題材やプリントの好みの違いで標準と言っても絶対的なものではなく幅があると考えています。標準ネガとはプリントしやすいネガを作ることだと考えています。
 このプリントしやすいネガというのはゾーンシステムで解説されていますので専門の本やゾーンシステムに関するサイトを参考にしてもらうとして(本当は説明出来なかったりして)スポットメータを使ってどの部分がゾーンいくつか関連付け明暗比を求め標準現像すべきかプラス現像あるいはマイナス現像すべきか決め印画紙の再現域に入るかどうか決める。この様に被写体の明暗の幅を印画紙の再現域に収めるためにコントラストをコントロールするための方法がゾーンシステムの基本的な考え方だと認識しています。スポットメーターで露出を確認して撮影する方法だとスナップ写真のように行き当たりばったりの場合はどうするんだと言うことになります。道行く人や通り過ぎる車を止めて露出を計る訳にはいきませんものね。

 もう一つの問題はゾーンシステムは元々がシートフィルムの使用が原則に考えられていることです。輝度差の激しい被写体の場合はマイナス現像で輝度差の小さい被写体の場合はプラス現像でコントラストを調整する訳なのだがロールフィルムの場合には1本の中に輝度差の大きいものや小さなものがが混在する場合がほとんどなので1コマずつ現像時間を変えることは不可能です。ではゾーンシステムの考え方は無駄かと言うとそうではないのです。ロールフィルム、スナップ派はゾーンシステムをそのまま実践することは出来ませんが輝度差や印画紙の再現幅を理解しているとしないではずいぶんと違いますし、今シャッターを押そうとしているこの場面のどこからどこまで(輝度的に)を再現したいかあるいはどこを捨ててしまうかと言うことを考えて写真を撮ることと、曇りの日に撮った物かピーカンの日に撮った物かで現像時間を考慮することが出来ます。ゾーンシステムを実践しようとするより理屈を理解して普段の撮影の一助にすると考えたほうがいいでしょう。


ネガの濃度って何が標準なの?
 よく言われるのは新聞紙の上にネガを置き一番黒い部分で文字がわずかに判別出来るくらい。らしいですと言ってしまえばこれで終わりですがこれではあまりにも愛想が無いので私なりの考えを披露します。
 プリントの一番白い部分はフィルムの濃い部分で、最も黒い部分はフィルムの素の部分です。ネガですからプリントと反対ですよね。
 
 
 
特性曲線
 左のグラフはフィルムのデータシートに書かれているので皆さんも目にしたことがあると思います。
 縦軸がフィルム濃度で横軸は露光量です。右側がハイライト部(露光量が多い)、左側がシャドー部(露光量が少ない)です。詳しい見方はフィルムメーカーのデータシートや専門的な知識のあるサイトが有りますのでそちらを参考にしてもらうとして、現像時間によって濃度の上がり方に差があることが分かると思います。
 現像時間10分のカーブを見ると縦軸の濃度が濃くなって1.5の値のところを見ると横軸は0.5の数値くらいですね。同じ様に現像時間8分のカーブを見ると縦軸の1.5のところに達するには横軸は1の数値まで来ています。現像時間が短いと1.5の濃さに達するまでに横軸の長さが長くなります。横軸をコントラストと読み替えればもっと分かりやすくなります。縦軸の濃度、真っ白から真っ黒になるのにコントラストが沢山有ると考えれば良いでしょう。(非常に雑な説明で、専門家の方が見ればチョットと首を傾げると思いますが、概念としては合っていると思います。グラフのカーブについてもマウスでエイ、ヤァと書いておりますので細かいことは無しです。)
     
 

 では現像時間を短くすればコントラストの多い(階調が豊か)なネガが出来るのかと言うとそうではありません。
たとえば現実にはありえないですが1色の壁に均等に光が当たっているとしましょう。それを撮影してフィルムを現像すると露光量の違い(カメラの露出値)で全体の濃さは写した人の数だけ有りそうですがやっぱり1色に変わりがありません。これでお判りのように階調と言うものはシャッターを切る前に存在する物なのです。階調豊かなプリントと言うことを勘違いしているのではないでしょうか?
 話がチョッと戻りますが現像時間を短くするとコントラストの多い(豊富な)被写体を余すことなく記録できると言うことです。普段、主体を生かすために暗い影の部分の描写をあきらめたり、空の明るい部分が真っ白に飛ぶことを余儀なくされる場合があると思いますが現像時間を短くすることによってフィルムに収められたコントラストを引き出すことが出来ます。2本のグラフから分かるように左側シャドー部分はあまり変化がありません中間から右側ハイライト部分になるほど差があります。これはどう言う事かというと被写体の明るい部分の階調は取り出すことが出来るが暗い部分の階調はどうにもならないということです。暗い部分の階調が必要だったらカメラの露出を設定する段階で階調の出る露出値にしておく必要があります。カメラの露出を多い目にするということ。横軸の長さを長く使えるのでグラフでいう-3とか-2とか書いてあるところの始まりを右側にチョッと寄ったところから使うということです。(実効感度EIの話ですねぇ。)ネガフィルムが露出のオーバー側に強い所以でもあります。
 じゃ、コントラストの差がいくら有っても現像時間を短くすれば再現出来るのかと言うと限界があります。フィルムのラチィチュードの問題も有りますしね。逆にコントラストの余り無い被写体を撮影したフィルムを長い目の時間で現像すればコントラストが出るということです。ここまでは解りました?これ以上の説明は専門のサイトへお願いいたします。ここまでが私の理解の限界であります。
 表題の「ネガの濃度って何が標準なの?」に戻る訳ですが、印画紙の再現域をフルに使えるネガという事だろうけど、一目見てこれでいいと分かる方法ですが誰か教えてください!というのが本当のところです。ストレートでプリントして結構いい感じに焼けているなという時となんだかなぁという時の差が結構有って、ネガを見る限りよく分からないのですねぇ。人物と建物、特に金属とガラスで出来た建物ですとキリッとしている方がいいし人物は少しやわらかい方がいいのですけどこれって階調の問題ではなく、腕の問題?

 専門家のアドバイスがあれば「目からうろこ」なんだろうなぁとまあ、真剣にワークショップに参加しようかと考えながら現像やプリントをしている訳です。