第7回 冬場の温度管理

 冬場の温度が下がるシーズンの温度管理は皆様はどの様にされていますか?
現像液の温度変化は±0.5℃(1℃以内)が理想ですが、真夏や冬季はなかなかこの温度内にとどめる事は難しいことです。低温側には弱いのでせめて20℃〜22℃以内で作業をしたいですね。
 ちゃんとした空調設備が有る様な方は稀でしょうし、暗室内に炎や光が出る暖房器具は不適です。そこでわれわれの手の届くものといえば、@バッド用の恒温器。A電気カーペット。Bオイルヒーター。C熱帯魚用のヒーター等が考えられます。


@バッド用恒温器
   
 

 これは暗室作業用に作られた物ですので使用に関してはよく考えられています。ただサイズは大体4切り位までです。又バッドの数だけ必要となります。他の暖房器具と併用して温度管理をシビアにしたい現像液にのみ使用する方法もあります。
 そうでない場合、最低でも現像液、停止液、定着液用と3台は必要となるでしょう。

A電気カーペット
   
 

 暗室の床に敷いて部屋全体の温度を上げるかパッドの下に敷いて直接パッドの温度を暖めると言う考えです。台所等で使われる水に強く、毛足の無いタイプがいいでしょう。
結構効果が有りそうな気がしますが、試してはいません。

Bオイルヒーター
   
 

 ラジエーター型のオイルヒーターによる暗室全体の暖房です。人間も暖まっていいですね。
急激な温度変化にはついていけませんので、暗室を使用する日はつけっぱなしとなりますので600W、700W、1300Wの切り替えがありますがランニングコスト(電気代)が心配です。600W程度で使用出来れば恒温器3台分と同じくらいです。

C熱帯魚用ヒーター
   
 

 従来のヒーターのようにセラミック製の試験管のような格好の物ではなく、水槽の下に貼り付けるシート状の物です。シート自身は40℃位まで温度が上がります。20℃から25℃位に水槽を暖めることが出来ますので2L前後のバッドの薬液を温めることは朝飯前だろうと思います。ただセンサーの感度がコンマ何℃をコントロール出来るかどうかは不明です。
 これも使えそうな気がしますが、欠点はバッドの数だけヒーターとコントローラーのセットが必要になります。


 

 いろいろと検討(実のところ一番コストのかからないもの)の結果、導入したのはBのオイルヒーターの使用です。
 暗室全体を暖房出来れば、液温管理もし易いですし人間にもいい環境になります。
 それにこれが決定打ですが価格の安い機器が発売されていることです。有名メーカーのディロンギ(イタリア製)のコピー製品Lifelex(中国製)です。
ディロンギの一番安い機種と比べても価格は1/4程度です。 恒温器1台の価格よりまだ安いのです。

 心配は本当に20℃を維持出来るのでしょうか?


実験1 温度上昇実験

   
 

実験日時:2003年12月3日、12時〜18時
部屋容積:1.3m×2.45m×2.4m(7.6立方m)
外気温:16℃(純然たる外部ではありません。暗室を作った部屋の温度です。換気吸入口の温度。)
換気扇:ON
オイルヒーター出力:600W

 

 
結果:
 

 6時間以降は横ばいです。気長に待ちましょう。
各温度は同じ様な勾配で上昇しているので最初はヒーターを最大出力(1.3kw)で稼動させれば時間を短縮することが出来そうです。
この結果から見ると600W出力でも室温、液温とも温度の維持は出来そうです。
換気扇をOFFにしたら温度上昇は速そうですが、健康のことを考えるとそうもいきません。


実験2 温度保持実験

 
 

実験日時:2003年12月4日、11時〜13時
部屋容積:1.3m×2.45m×2.4m(7.6立方m)
外気温:15℃(純然たる外部ではありません。暗室を作った部屋の温度です。換気吸入口の温度。)
換気扇:ON
オイルヒーター出力:600W

 
 
結果:
   
 

 室温は上昇し続けるが水温は80分後まで下がり続けその後水温の低下は止まり上昇に移るが温度の上昇は緩慢です。

 
       

まとめ:
   
 

上記2つの実験から判ること。
@.理論的に室温と水温は同じ温度になるはずだが、時間がかかること。
A.20℃の水温を維持するなら室温は23℃位になってから20℃の薬液を作る方が薬液の温度保持が容易である。
B.現在木製の床とパッド棚、各々に断熱性のあるシートを敷き温度低下を遅らせる。

 
 

 0.何℃という温度変化を管理することは大変です。暗室の温度が20℃になっていればもっと簡単に水温20℃が維持できると考えていましたが、そんなに甘くはありませんでした。
 グラフで見ると水温がすごく落ちているように見えますが、たった1.8℃の変化なのです。普段の生活ではこれくらいの変化を気にしてはいませんねぇ。スタート時に薬液の温度を21℃位で作った方がいいかもしれませんが益々これから寒くなってきますので他の方法と併用する方が温度管理は容易かもしれません。
 もっと具体的に外気何℃の時に何Wのヒーターで何時間暖め、何℃にしておけば水温20℃が維持できる。という風に科学的なデータを取れればいいのですが、そういう時間でプリント作業をするか何処かへ撮影に出かけた方が楽しいと思います。
 頭の隅っこにちょこっと「今、液温何度かな〜」と。
 まあ、こんな感じくらいの認識でOKかと・・・。

P.S. この後何度か暗室を使用していますが暗室の在る部屋を石油ストーブで暖房(本当に小さな炎で大丈夫)すると暗室作業の間液温を21℃から20℃の範囲で維持できました。